オープン ソース エンタープライズ クイック ガイド

本ガイドでは、オープン ソース エンタープライズの正体、オープン ソース ソフトウェアで安全な開発を行ううえでチームに必要な 3 つの重要な要因についてご紹介します。さらに、オープン ソース ソフトウェアを使用することで、リスクを最小限に抑えながら短期間でイノベーションを起こし、ライバルの一歩先を行ってコストを削減する方法についてもお伝えします。

ソフトウェアを構築するための新たな方法

現在、ほぼ全ての業界がテクノロジーを活用して自社の製品とサービスの差別化を図っています。ソフトウェアは、大きなアイディアを持った小さな企業が現状を打破し、大企業と競争することを可能にする優れた武器になっています。

質の高いソフトウェアの迅速な開発に必要なリソースを求めて、開発者はオープン ソース コミュニティを活用したいと考えています。しかし、企業は慎重な姿勢を崩しません。一般的に、オープン ソースの導入はオペレーティング システム (Linux) やプログラミング フレームワーク (Ruby や JavaScript など) のような実証済みの分野に限られています。

来年オープン ソース コードの利用を増やす意向を示している IT リーダーは全体の 59% を超えています。

「The State of Enterprise Open Source」2019 report

組織が変化を生み出す方法

最小のリスクで最大のイノベーションを起こす。これこそがオープン ソース導入の目的です。オープン ソース ソフトウェア (OSS) コンポーネントをプロジェクトに追加することで、数千名にも上る開発者から協力を得ることができますが、同時に、他者が作成したコードを使用するリスクを負うことにもなります。開発チーム外からのコードを導入するときは、ソフトウェアを構築するためのスキルとアプローチも変更する必要があります。

変化には困難が伴います。多くの企業は、外部コミュニティとの連携どころか、自社内のチームの垣根を越えた連携に慣れていません。変化を受け入れ、OSS コミュニティとのバランスの取れた信頼関係を築いた企業こそが、新しいタイプの組織「オープン ソース エンタープライズ」へと生まれ変われるのです。

オープン ソース エンタープライズとは

オープン ソース エンタープライズとは、「最新のソフトウェア開発に OSS は不可欠であり、オプションではない」ということを認識し、オープン ソース コミュニティに参加して最新かつ最善のテクノロジーを常に把握している組織を指します。また、安全なプラットフォームを活用して戦略的にオープン ソースに投資することで、自社のビジネスに変革を起こしています。その結果、こうした組織ではリスクを最小限に抑えながら短期間でイノベーションを起こし、ライバルの一歩先を行ってコストを削減することに成功しています。

オープン ソース エンタープライズになるための 3 つの要因

1. オープン ソースへの積極的な参加

オープン ソース ソフトウェア (OSS) は数多くのコントリビュータの協力があって作られるものです。オープン ソースを最大限に活用するには、コミットメントとアクションが必要です。ハーバード ビジネス スクールの最近の調査によると、オープン ソースに貢献している企業は、オープン ソース コードを利用するだけの企業に比べて最大 2 倍のメリットを得ています。オープン ソース エンタープライズはオープン ソースを採用して活用するだけでなく、頼りにしているコミュニティに貢献し、メンタリングも行っています。

2. インナーソース文化

オープン ソース コミュニティは透明性が高く、コラボレーションによって成り立つ場であり、思考の多様性を高め、優れたアイディアを促進します。オープン ソース エンタープライズではこの原理を自社内のチームで使用します。これが「インナーソース」というアプローチです。社内にオープン ソースの慣習を取り入れることで、ワークフォースが最適化されて高い成果へとつながります。

3. セキュアでコンプライアントなプラットフォーム

オープン ソースの利用にはリスクが伴うため、OSS サプライヤーとの安全な連携方法を知っておく必要があります。オープン ソースの依存性とその脆弱性を理解しているかどうかで、安全を守れるかハッキングされるかが分かれます。オープン ソース エンタープライズでは、適切なプラットフォームとツールに投資することで、コードの脆弱性を管理してオープン ソースを安全に利用しています。