エンタープライズ アプリケーション開発とは

エンタープライズ アプリケーション開発の概要

エンタープライズ アプリケーション開発により、組織はエンタープライズ リソース プランニング、サプライチェーン管理、顧客関係管理、人材管理などのシステムにおけるビジネス プロセスを簡素化できます。エンタープライズ ソフトウェア開発とも呼ばれ、これにより組織はエンタープライズレベルのソフトウェアで実現されるカスタマイズと拡張性を得ることができます。たとえば、エンタープライズレベルのソフトウェアでは、要求の厳しいビジネス プロセスを処理して、大量のデータを保存し、より多くのセキュリティ機能を備えた、より強力なプラットフォームを利用できます。このような機能はコンシューマーレベルのソフトウェアでは利用できません。

エンタープライズ アプリケーション開発の一般的な目標は次のとおりです。

• 自動化のインプリメンテーション 日常的な反復タスクを自動化すると、従業員はミッションクリティカルな活動に集中でき、関心やモチベーションを維持できます。

• セキュリティの強化 エンタープライズ アプリケーションをクラウドでホスティングすると、より多くのセキュリティ機能を利用できます。クラウド プロバイダーはデータ保護と優秀な人材の採用に多額の投資を行って高い保護レベルを維持しているからです。

• 効率と生産性の向上 エンタープライズ アプリケーションを使用して信頼できる唯一の情報源にアクセスすることにより、従業員は作業プロセスを合理化し、効率性と生産性を高めることができます。

エンタープライズ アプリケーション開発の必要性

デジタル変革は組織のビジネスのあり方を変えつつあります。この変革は紙ベースのプロセスを、テクノロジーを活用した効率的なワークフローに変換します。エンタープライズ アプリケーション開発は、この変革をビジネス ニーズに合わせてカスタマイズする方法です。

自動化、セキュリティ、効率性、生産性に加え、エンタープライズ アプリケーションを開発することにより、組織は以下を実現できます。

• 接続性 オフィス、外出先、自宅など、働く場所を問わず、組織全体の従業員用の 1 つの窓口でコラボレーションを促進します。

• スケーラビリティ 従業員に新しいソフトウェアのトレーニングを行わなくても、ビジネスの成長と技術の進歩に対応できます。

• カスタマイズ 組織全体のチームや部門からのフィードバックを取り入れて、オンサイトやリモートからのアクセシビリティのためにアプリケーションを継続的に改善します。

• パーソナライズ 作業の迅速化を支援するツールやリソースを備えたホームページまたはダッシュボードを従業員が作成できるようにします。

エンタープライズ アプリケーション開発のメリット

組織向けエンタープライズ アプリケーションを開発することにより、従業員がうまく効率的に作業を行うために必要な特定のツールを提供できます。開発プロセスには、テック スタックを評価する、従業員が使用する機能と使用しない機能を見極める、エンタープライズ アプリケーションを設計してテクノロジーを最適化することが含まれます。エンタープライズ ソフトウェア開発のその他の成果として以下が挙げられます。

• **データ管理を強化する。**サイロからデータを取り出し、適切なデータ ガバナンスでデータの品質、使用状況、セキュリティを管理できます。

• **アプリケーションのパフォーマンスについてのデータを取得する。**システムの使用状況を追跡し従業員のフィードバックを収集して、エンタープライズ アプリケーションの有効性を向上させます。

• **競争上の優位性を生み出す。**信頼性の高いデータとパフォーマンスの高いテクノロジーで従業員に力を与えて、業界で組織を際立たせる成果をもたらします。

ビジネス ニーズに対応したエンタープライズ アプリケーションを開発する

顧客関係管理用の Salesforce、エンタープライズ リソース プランニング用の SAP など、市販のエンタープライズ アプリケーションがあります。このテクノロジーとイノベーションの時代において、一部の組織はエンタープライズ アプリケーションの開発に投資して、自社を差別化し、AI、機械学習、Internet of Things (モノのインターネット、IoT) などを活用しています。たとえばエンタープライズ アプリケーションは次のような目的で開発されます。

• **AI で職場のセキュリティを高める。**モーション検出機能、カメラ、気象センサーからデータを収集して、異常な動作や危険な状況を特定し、予防措置や是正措置を講じます。

• **機械学習でデータを活用する。**従業員がイントラネットでどのような種類の情報を探しているかを把握し、従業員の質問に対する回答が見つかる可能性が最も高いリソースで対応します。

• **IoT でオペレーションを強化する。**倉庫内の機器の追跡、ラボの温度の監視、緊急の問題に関するアラートの受信など、従業員にデータを提供することにより、重要な情報を常に把握できるよう従業員を支援できます。

エンタープライズ アプリケーションとウェブ アプリケーションには違いがあることを知っておくことが重要です。エンタープライズ アプリケーションはカスタマイズ可能で、ビジネス ニーズに合わせてスケールアップまたはスケールダウンできるよう構築され、ローカル サーバーまたはプライベート ネットワークにインストールされます。認証や認可などのセキュリティ対策を使用し、既存のテック スタックと連携するよう設計されています。一方、ウェブ アプリケーションは多数のユーザー向けに設計され、ウェブ サーバーで実行されます。多くの場合、セキュリティ対策が不十分で他のシステムとの連携も簡単ではありません。

エンタープライズ アプリケーション構築の概要

エンタープライズ アプリケーションを構築するには、事前に相当量の準備と計画を行う必要があります。また、インプリメンテーションすれば責任を終えたということにはなりません。ソフトウェアの成功を宣言するには、定義、設計、開発、最適化の要素を必ず含めてください。

• 組織全体の主要な関係者と目標を定義する。エグゼクティブ、マネージャー、チーム メンバーにインタビューしてニーズと期待を見極めます。

• アプリケーションの主要な機能を紹介するプロトタイプを設計する。従業員にアプリケーションを操作してもらい、機能に関するフィードバックをもらいます。

• ソフトウェアのフロントエンドとバックエンドを開発する。スプリント サイクルを遵守して設計検証のデモンストレーションをスケジュールします。また、進捗状況を評価します。

• 開発したアプリケーションを最適化する。アプリケーションの機能性と利便性をさらに高めるテクノロジーについて常に最新情報を入手しましょう。

もちろん、どのような開発の取り組みにも課題はつきものです。自身で計画できることもあれば、やる気が試されるような場面が待ち構えていることもあります。

エンタープライズ アプリケーション開発の課題

エンタープライズ アプリケーションの開発は組織全体の必須要件を満たします。数人の個人の必須要件を満たすものではありません。これは、相互運用性を確保し、優れたユーザー エクスペリエンスを実現することに加え、難題といえます。

エンタープライズ アプリケーション開発の課題を予測すると、開発者チームがより効果的にコラボレーションして実用的な解決策を見つける後押しとなります。予想される一般的な課題には次のようなものがあります。

• 変化する必須要件の管理 開発中にプロジェクトの範囲を変更すると、多くの場合、コスト超過や納期遅延を招きます。プロジェクト マネージャーは予算と時間の制約の中でソフトウェア開発を続けるために、変更要求を評価して優先順位付けする必要があります。

• セキュリティの懸念への対処 モバイル デバイスで企業の極秘情報にアクセスすることにより、データの破損、漏えい、紛失など、セキュリティの懸念が生じます。認証と認可の管理についてはエンタープライズ アプリケーションを開発する際に考慮する必要があります。

• モバイル プラットフォームへの移行 データとサービスを共有するツールを使用できるようにすることは、どこからでも作業ができる環境において重要な考慮事項です。開発者はデスクトップやノート PC と同じように、モバイル デバイスでも使いやすいアプリケーションを構築することを目指しましょう。

• データの保管 データへの迅速かつ効率的なアクセスは、組織のほぼ全ての従業員が期待することです。許可されているユーザーが迅速かつ一貫してアクセスできるようにするには、ビジネス ニーズに最適なクラウド プラットフォームを選ぶ必要があります。

• 相互運用性の徹底 日常業務に必要なソフトウェアを見極めて、そのソフトウェアと連携するエンタープライズ アプリケーションを構築することが成功への鍵となります。従業員は新しいツールを学ぶのではなく、ツールを合理化することを希望しています。

• 優れたユーザー エクスペリエンスの創出 実用的で使いやすいインターフェイスを用意するには、エンタープライズ ソフトウェアが組織にとって欠かせない存在となるような形式を見つけるまで、繰り返し作業する必要があります。

• Determining the return on investment (投資収益率、ROI) の決定 主要業績評価指標を定めることは、利害関係者がエンタープライズ アプリケーションの価値を測定するのに役立ちます。

組織のエンタープライズ アプリケーションの構築には 3 か月から 9 か月ほどかかる場合があります。計画を立てて準備し、課題を理解すると、開発チームは優れたアプリケーションを構築するための適切な考え方を身につけることができます。

エンタープライズ アプリケーション開発用のツールとテクノロジー

エンタープライズ アプリケーションの開発には、コード エディター、グラフィック ユーザー インターフェイス デザイナー、パフォーマンス アナライザー、コンパイラーなどのツールが必要です。ツールを決める際はバグや問題の追跡、スプリントの管理、自動化、コラボレーションなどの機能を調べることをお勧めします。

企業の必須要件への対応を支援するテクノロジーの選択は、組織の予算や開発チームのスキルによって異なる場合があります。選択肢として Java プログラミング言語やコンピューティング プラットフォーム、.NET クロスプラットフォーム フレームワーク、Python、PHP などが挙げられますが、これらが全てではありません。

クラウド プラットフォームはエンタープライズ アプリケーション開発の成功に必要なセキュリティ、アップタイム、可用性を実現します。クラウド プラットフォームにより、ハードウェアのインストールやインフラストラクチャのセットアップに時間をかける必要がなくなります。クラウドベースの開発は、必要な分だけ支払うということでもあります。これは組織のニーズに合わせて拡張できるエンタープライズ アプリケーションの概念と見事に一致しています。

オンプレミスのエンタープライズ アプリケーション開発ツールを使用すると、リソースを制御できますが、高額な所有コストとアップデートやメンテナンスの責任が伴います。ハイブリッド ソリューションを採用すると、スケーラビリティを実現しつつ、データ センターや仮想マシンをより細かく制御できるようになります。

よりセキュアなエンタープライズ アプリケーションの構築、拡張、提供を後押しするため、GitHub Enterprise では 2 つのデプロイメント オプションを用意しています。GitHub Enterprise Cloud には GitHub.com の高度な機能が備わっています。一方 GitHub Enterprise Server はセルフホステッド プラットフォームです。